システム建築とは?メリット・デメリットから適した建物まで詳しく解説

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事業用建物の建設を検討する際、「低コスト」「短工期」「高品質」は誰もが望む重要な要素です。これらを高いレベルで実現する工法として、今注目を集めているのがシステム建築です。

本記事では、システム建築の基本的な定義から、そのメリット・デメリット、そしてどのような建物に適しているのかまで詳しく解説していきます。事業計画の成功を左右する建物選びの、合理的で賢い選択肢について一緒に見ていきましょう。

 

システム建築とは?

  バリューアップ工事とは?

システム建築とは、建物を構成する部材を標準化し、建築の生産プロセス全体をシステム化した工業化建築手法のことです。具体的には、鉄骨、屋根、外壁、建具などの部材が、あらかじめ寸法や仕様、ディテールに至るまで標準化されています。

そして、設計から工場生産、現場での施工まで、すべてのプロセスがコンピュータで一元管理され、徹底的に合理化されているのが大きな特徴です。

 

建築プロセス全体の「標準化」と「システム化」が鍵

システム建築の核心は、建築プロセス全体にわたる「標準化」と「システム化」にあります。従来工法では設計者や施工者の裁量に委ねられる部分が多かったのに対し、システム建築では各部材の仕様や組み合わせがあらかじめ標準化されています。

品質のばらつきがなくなり、誰が建てても安定した品質を確保できます。また、各工程がシステムとして連携しているため、無駄がなく、効率的な生産と施工が可能になるのです。

 

プレハブ工法・在来工法との違い

よく混同されがちなプレハブ工法は、「部材をあらかじめ工場で製造し、現場で組み立てる」という点ではシステム建築と共通しています。しかし、プレハブが主に住宅などの小規模建築物を対象とし、部材の「工場生産」に重点を置いているのに対し、システム建築は倉庫や工場といった大規模な建物を主対象とし、設計から施工までの全プロセスをシステム化・標準化している点で異なります。

また、設計事務所や建設会社が現場ごとにオーダーメイドで建物を造り上げていく在来工法と比較すると、その差はさらに明確です。在来工法は設計の自由度が高い反面、コストや工期、品質が現場の状況や職人の技術に左右されやすいという側面があります。システム建築は、この不確定要素を徹底的に排除し、安定した供給を目指す工法と言えます。

 

コンピュータ(CAD/CAM)が支える高精度な設計と製造

システム建築の高精度・高品質は、CAD/CAMシステムによって支えられています。CADで見積もりから設計、生産指示までを一貫して行い、そのデータを元にCAMが工場で部材を自動的に製造します。人の手を介する部分が少ないため、ヒューマンエラーが起こりにくく、ミリ単位での高精度な部材加工が可能です。

この技術が、現場でのスムーズな組み立てと、隙間のない高精度な建物を実現しています。

 

システム建築を導入するメリット

 

システム建築を選ぶことで、事業主には多くの具体的なメリットがもたらされます。コストや工期といった直接的な利点から、建物の品質、空間効率、さらには将来の事業展開への柔軟性まで、その多岐にわたる強みを見ていきましょう。

 

圧倒的な低コストと価格競争力

部材の標準化と工場での大量生産により、材料費や加工費を大幅に削減できます。また、現場での作業がシステム化されているため、無駄な工程がなく、人件費も抑制可能です。

これらの要素が組み合わさることで、在来工法に比べて坪単価で20%~40%程度コストを抑えられる場合もあり、非常に高い価格競争力を持ちます。

 

事業計画を加速させる短工期

設計から部材の生産、現場施工までの全プロセスがシステム化されているため、圧倒的な短工期を実現します。現場での作業は、工場で精密に作られた部材をボルトで接合する作業が中心となるため、天候に左右されにくく、熟練工に頼る部分も少なくなります。

在来工法と比較して工期を大幅に短縮でき、建物の早期稼働によって事業計画を前倒しで進めることが可能です。

 

ブレのない安定した高品質

品質が現場の職人の腕に左右されやすい在来工法と異なり、システム建築は工場生産による均質な部材と、標準化された施工手順によって、常に安定した高品質を確保します。

部材は厳しい品質管理体制のもとで生産され、現場での施工マニュアルも整備されているため、建物の性能にばらつきが生じません。

 

大スパン・無柱空間による高い空間効率

システム建築は、高張力鋼材の使用や構造計算の最適化により、柱の少ない「大スパン(柱間隔)空間」を得意としています。最大で60m程度の無柱空間を創り出すことも可能で、内部に柱がない広々とした空間は、倉庫でのラック配置や工場の生産ライン設計、スポーツ施設でのアリーナなど、用途に応じた自由なレイアウトを可能にし、非常に高い空間効率を実現します。

 

優れた耐震性・耐久性

システム建築は、構造計算に基づき軽量かつ高強度な鋼材を合理的に配置するため、建物全体の重量を軽くできます。その結果、地震発生時の揺れによる建物の負担を軽減し、優れた耐震性を発揮します。

また、使用される部材は耐久性の高いものが標準仕様となっており、長期にわたって安心して使用できる建物を提供します。

 

スピーディな見積もりと計画進行

システム建築では、建物の仕様がある程度標準化されているため、見積もりの算出が非常にスピーディです。専用のソフトウェアに延床面積や建物の仕様を入力するだけで、概算費用を短時間で把握できます。

事業の初期段階における資金計画や採算性の検討が迅速に進み、プロジェクト全体の意思決定を加速させます。

 

将来の増改築への対応力

部材が標準化されているシステム建築は、将来の増改築にも柔軟に対応できます。例えば、事業拡大に伴い建物を拡張したい場合でも、同じ規格の部材を追加することで、比較的容易に増築することが可能です。

事業の変化に合わせて建物をアップデートしやすい点も、長期的な視点で見ると大きなメリットです。

 

知っておくべきシステム建築のデメリットと注意点

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多くのメリットを持つシステム建築ですが、一方でいくつかのデメリットや注意すべき点も存在します。導入を決定する前にこれらの点を理解し、自身の計画に本当に合致しているかを見極めることが重要です。

 

デザインの自由度が低く、外観が画一的になりやすい

部材やディテールが標準化されているため、デザインの自由度は在来工法に比べて低くなります。特に、屋根の形状や外壁材の種類には制約があり、独創的で複雑なデザインを実現するのは困難です。そのため、外観が画一的になりやすく、「いかにも倉庫・工場らしい」見た目になる傾向があります。

ただし、近年では外壁パネルのカラーバリエーションを増やしたり、一部にデザイン性の高い部材を取り入れたりすることで、このデメリットをカバーする工夫も見られます。

 

特殊な敷地形状や複雑な設計には不向き

システム建築は、規格化された部材を効率的に組み合わせることを前提としているため、三角形や台形といった変形地や、高低差の激しい土地には対応が難しい場合があります。また、建物内部に特殊な構造や複雑な間取りを求める場合も、標準仕様の範囲を超えるため不向きです。

あくまでも、整形地での効率的な建設に最適化された工法と理解しておく必要があります。

 

小規模な建物ではコストメリットが出にくい

システム建築の低コストというメリットは、部材の大量生産と施工の効率化によって生まれます。そのため、ある程度の規模(一般的に延床面積500㎡以上)がないと、そのスケールメリットを十分に享受できません。

小規模な建物の場合、かえって在来工法の方が安価に済むケースもあるため注意が必要です。

 

メーカーによる品質や寸法の規格に差がある

システム建築は、各メーカーが独自の技術や規格でシステムを構築しています。そのため、メーカーによって部材の品質や寸法、得意とする工法などに違いがあります。A社では対応できてもB社ではできない、といったケースも少なくありません。

したがって、複数のメーカーを比較検討し、自社の要望に最も適したシステムを提供している会社を選ぶことが重要になります。

 

システム建築が最適な建物とは?

バリューアップ工事とは?

 

システム建築のメリットとデメリットを理解した上で、具体的にどのような建物にこの工法は最適なのでしょうか。その高い空間効率やコストパフォーマンスが最大限に活かされる代表的な建物の用途を紹介します。

 

倉庫・物流センター

柱のない広大な空間を低コスト・短工期で実現できるシステム建築は、倉庫や物流センターに最も適した工法と言えます。フォークリフトの動線確保や大量の保管ラックの効率的な配置が容易であり、事業の根幹を支える施設の建設に最適です。

 

工場

工場もまた、生産ラインの自由なレイアウトが求められるため、大スパン空間を得意とするシステム建築との相性が抜群です。製造する製品の変更に伴う将来的なラインの組み替えにも柔軟に対応できます。

また、事業開始までのリードタイムを短縮できる短工期も、大きなメリットとなります。

 

スポーツ施設

体育館や屋内練習場、テニスコートといったスポーツ施設も、柱が邪魔にならない広大な無柱空間が不可欠です。システム建築は、これらの要件を満たしつつ、建設コストを抑えることができるため、学校施設や地域のスポーツ振興施設など、幅広い用途で採用されています。

 

山市成工は横河システム建築(yess建築)のビルダーに加盟しています

 

当社は、横河システム建築が提供する「yess建築」の正規ビルダー(販売・施工代理店)です。yess建築は、設計から部材生産までをコンピュータで一元管理し、部材を標準化することで「低価格」「短工期」「高品質」を実現した画期的な建築システムです。

独自のフレーム・屋根・壁システムにより、倉庫や工場、店舗、スポーツ施設など、柱の少ない大スパン空間を在来工法よりはるかに安価に建設できます。寸法が規格化された「スーパーラピッド」から、1mm単位での設定や最大60mのスパンが可能な「ラピッドプラス」、オーダーメイド型の「カスタムシリーズ」まで、お客様の多様なニーズに最適なプランをご提案いたします。

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