2025/06/16
工場の建設は、企業の生産能力を飛躍的に向上させ、事業成長の礎となる重要な経営判断です。しかし、そのプロセスは複雑で多岐にわたり、何から手をつければ良いのか分からないという担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、工場建設の構想段階から、具体的な計画、法的手続き、そして最も重要なパートナーとなる施工会社の選定まで、一連の流れを6つのステップに分けて分かりやすく解説します。この記事を読めば、工場建設プロジェクトを成功に導くための基本的な知識と、信頼できるパートナーを見極めるためのポイントが明確になります。
工場建設の基本の流れ

工場建設は、思い立ってすぐに始められるものではありません。事業計画とのすり合わせから、法的な手続き、設計、施工、そして稼働開始まで、長期にわたる複数のステップを確実に踏んでいく必要があります。ここでは、プロジェクト全体を俯瞰できるよう、基本的な6つのステップに分けてその流れを解説します。
ステップ1:企画・計画段階 (事業の根幹を固める)
プロジェクトの成否を左右する最も重要な段階です。ここで描く計画が、今後の全ての工程の土台となります。曖昧な点を残さず、具体的かつ慎重に検討を進めましょう。
事業目的・工場建設の目的の明確化
「なぜ工場を建設するのか?」を徹底的に掘り下げます。「生産能力の拡大」「新製品の製造」「生産拠点の再編」「品質管理の強化」など、具体的な目的を明確にしましょう。この目的が、今後のレイアウトや設備選定、予算策定など、あらゆる意思決定の判断基準となります。
用地選定と法的要件の確認(用途地域、工場立地法など)
工場の立地は、物流効率、人材確保、そして法的制約など、多角的な視点から選定する必要があります。都市計画法で定められた「用途地域」で工業専用地域や準工業地域など、工場建設が可能な土地かを確認します。また、一定規模以上の工場には「工場立地法」が適用され、敷地面積に対する生産施設面積や緑地面積の割合が定められています。これらの法的要件を事前にクリアできるかを確認することが不可欠です。
基本計画と工場レイアウトの検討
明確になった目的に基づき、工場の基本的な骨格を決めます。生産する製品、導入する機械設備、製造工程の動線、従業員の作業動線、将来の増設可能性などを考慮し、最適なレイアウトを検討します。効率的で安全な生産体制を築くための、まさに設計図の元となる重要な作業です。
概算予算の策定と資金調達計画
土地取得費、設計費、建設費、設備導入費、そして登記費用や税金などの諸経費を含めた、プロジェクト全体の概算予算を算出します。この予算に基づき、自己資金で賄うのか、金融機関からの融資を利用するのかといった資金調達計画を具体的に立てます。
ステップ2:設計段階(理想の工場を具体化する)
企画・計画段階で固めた構想を、専門家である設計会社と共に具体的な図面に落とし込んでいくフェーズです。
基本設計:建物の骨子と主要機能の決定
基本計画を基に、建物の構造(鉄骨造、RC造など)、配置、平面計画、主要な設備の仕様といった、工場の骨格となる部分を決定します。建築基準法などの関連法規に適合しているかを確認しながら、予算とのバランスを取り、全体の仕様を固めていきます。
概算予算の策定と資金調達計画
基本設計で決定した内容を、実際に工事ができるレベルまで詳細化します。寸法、材料、施工方法などを具体的に指定した詳細な図面(意匠図、構造図、設備図など)や仕様書を作成します。この段階で、より正確な工事費用の見積もりが可能となり、必要に応じて仕様を見直すなどのコスト調整が行われます。
ステップ3:許認可申請段階 (法的手続きを確実にクリア)
工場を建設するためには、国や自治体への法的な申請と許可が不可欠です。代表的なものに、建築基準法に基づく「建築確認申請」があります。この申請が受理され、「確認済証」が交付されて初めて、工事に着手することができます。その他にも、消防法や前述の工場立地法など、建設する工場の規模や業種によって必要な申請は多岐にわたるため、専門家と連携し、漏れなく対応する必要があります。
ステップ4:施工会社選定と契約締結段階 (信頼できるパートナーを見極める)
設計図を基に、実際に工場を建設してくれる施工会社を選定します。複数の会社から見積もりを取り、価格だけでなく、実績や技術力、担当者の対応などを総合的に比較検討することが重要です。最適なパートナーが見つかったら、工事内容、金額、工期などを明記した「工事請負契約」を締結します。
ステップ5:施工段階(計画を現実に変える)
いよいよ工事の開始です。施工会社が作成した施工計画書に基づき、安全管理・品質管理・工程管理を徹底しながら工事が進められます。発注者側も、定期的に現場へ足を運び、設計図通りに進んでいるか、品質に問題はないかなどを確認する「工事監理」を行います。
ステップ6:竣工検査・引き渡し段階(最終確認と稼働準備)
建物が完成すると、まず行政による「完了検査」が行われ、建築確認申請通りに建てられているかがチェックされます。これに合格すると「検査済証」が交付されます。その後、発注者、設計者、施工会社の三者で最終的なチェック(施主検査)を行い、全ての確認が完了すれば、ついに建物の引き渡しとなります。引き渡し後は、生産設備の搬入や試運転を経て、本格的な稼働開始に向けた準備を進めます。
工場建設のパートナー選びにおけるポイント

工場建設という一大プロジェクトを成功させるためには、共に歩むパートナー、すなわち施工会社の選定が極めて重要です。価格の安さだけで選んでしまうと、後々大きな問題に発展しかねません。ここでは、自社にとって最適なパートナーを見極めるための重要なポイントを解説します。
なぜ施工会社選びが成否を分けるのか?
工場は、単なる建物ではありません。企業の生産活動の心臓部であり、事業の根幹を支える特殊な施設です。求められる機能や性能は、製造する製品によって千差万別です。施工会社の技術力やノウハウは、生産効率、製品の品質、従業員の安全性、そして将来のメンテナンスコストに至るまで、工場のあらゆる側面に直接影響を与えます。信頼できる施工会社は、こちらの要望を的確に形にしてくれるだけでなく、専門家としての知見からより良い提案をしてくれる、まさにプロジェクトの成功を左右する存在なのです。
建設会社選定で押さえるべき6つの最重要ポイント
1. 豊富な工場建設実績と類似プロジェクト経験
まず確認すべきは、工場建設の実績、特に自社が建設したい工場と「類似した」プロジェクトの経験が豊富かどうかです。例えば、食品工場と精密機械工場では、求められる衛生管理レベルや空調設備が全く異なります。過去の実績を見ることで、その会社の得意分野やノウハウの蓄積度を推し量ることができます。
2. 高い専門性と技術力(HACCP対応、特殊設備など)
自社の工場に求められる特殊な要件に対応できる専門性と技術力を持っているかを確認しましょう。例えば、食品工場であれば衛生管理基準であるHACCP(ハサップ)に対応した設計・施工ノウハウが不可欠です。また、危険物を取り扱う工場、大規模なクレーンが必要な工場、精密な温湿度管理が求められるクリーンルームなど、特殊な設備や工法に関する知見も重要な選定基準となります。
3. 建設会社の特性・規模の把握と自社との適合性
建設会社には、全国展開する大手ゼネコンから、地域に密着した中小の建設会社まで様々です。大規模で複雑なプロジェクトであれば大手ゼネコンの組織力や技術力が求められる一方、比較的小規模な工場や、地域との連携を重視するなら地場の建設会社の方がフットワークが軽く、柔軟な対応が期待できる場合もあります。自社のプロジェクトの規模や方針に合った会社を選ぶことが重要です。
4. 適正な建設費用の見積もりと透明性
複数の会社から相見積もりを取ることは基本ですが、単に金額の安さだけで判断するのは危険です。「なぜその金額になるのか」という根拠が明確に示されているか、見積もりの内訳が詳細で分かりやすいかを確認しましょう。安すぎる見積もりは、必要な工事が含まれていなかったり、後から追加費用を請求されたりするリスクも潜んでいます。誠実で透明性のある見積もりを提示してくれる会社を選びましょう。
5. 課題解決に向けた提案力と円滑なコミュニケーション
こちらの要望をただ聞くだけでなく、より良い工場にするための付加価値の高い提案をしてくれるかも重要なポイントです。「こうした方が生産効率が上がります」「将来のメンテナンスを考えるとこの仕様が良いです」といった専門家ならではの提案力は、プロジェクトの質を大きく向上させます。また、担当者とのコミュニケーションが円滑に進むか、相談しやすいかといった相性も、長期にわたるプロジェクトを円滑に進める上で見逃せません。
6. 竣工後のアフターフォローと長期的なサポート体制
工場は建てて終わりではありません。稼働後も、定期的なメンテナンスや万が一のトラブル対応が必要になります。竣工後のアフターフォロー体制や保証制度が整っているか、長期的に付き合っていける信頼関係を築けそうかを確認しましょう。地域に根差した会社であれば、迅速な対応が期待できるというメリットもあります。
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