2025/10/06
マンションの屋上は、常に雨風や紫外線にさらされ、建物の中で最も過酷な環境にあります。そのため、屋上の防水機能は時間と共に劣化し、放置すれば雨漏りを引き起こし、建物の構造自体を傷める深刻な事態につながりかねません。大切な資産であるマンションの価値を維持し、住民が安心して暮らすために、屋上防水工事は不可欠です。
この記事では、マンションにおける屋上防水工事の重要性から、具体的な工法の種類、工事を検討すべき劣化のサイン、そして信頼できる業者の選び方まで、網羅的に解説します。
なぜマンションの屋上防水は重要?

マンションの屋上防水は、単に雨漏りを防ぐだけではありません。建物の躯体であるコンクリートを保護し、マンション全体の寿命を延ばすという重要な役割を担っています。もし防水層が劣化して雨水が浸入すると、コンクリート内部の鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートを破壊する「爆裂」という現象を引き起こす可能性があります。
そうなると、大規模な修繕が必要となり、費用も高額になります。計画的な防水工事は、長期的に見てマンションの資産価値を守るための賢明な投資なのです。
マンション屋上防水3つの主要な工事方法
マンションの屋上防水には、主に3つの工法があります。それぞれに特徴やメリット・デメリットがあり、屋上の形状、既存の防水層の状態、そして予算に応じて最適な工法を選択することが重要です。
ウレタン防水
ウレタン防水は、液体状のウレタン樹脂を塗り重ねて防水層を形成する工法です。液体状なので、室外機の架台や配管周りなど、複雑な形状の場所でも継ぎ目のない均一な防水層を作れるのが最大の特長です。
また、既存の防水層の上から重ね塗りができる場合も多く、廃材を削減できる環境に優しい工法ともいえます。
シート防水
シート防水は、塩化ビニルや合成ゴム製のシートを接着剤などで下地に貼り付ける工法です。シート状の材料を使うため、凹凸の少ない広い面積の屋上に適しています。
工場生産されたシートを使うため、品質が安定しており、職人の技術力に左右されにくいのがメリットです。また、ウレタン防水のように乾燥させる時間が必要ないため、工期が比較的短いのも魅力です。
アスファルト防水
アスファルト防水は、合成繊維不織布にアスファルトを染み込ませた「ルーフィング」というシートを何層にも重ねて防水層を構築する、古くからある信頼性の高い工法です。防水層が厚く、耐久性・水密性に非常に優れているのが特徴です。
その分、重量があるため、建物の構造によっては採用できない場合もありますが、その信頼性の高さから多くのマンションで採用されています。
防水工事を検討すべき危険な劣化サイン

屋上の防水層は、気づかないうちに劣化が進行していることがあります。手遅れになる前に、専門家による点検を受けることが重要ですが、ご自身でも確認できる劣化のサインがいくつかあります。以下のような症状を見つけたら、早めに専門業者に相談しましょう。
防水層の「膨れ」「浮き」
防水層の下に湿気が溜まったり、接着剤が劣化したりすると、防水シートや塗膜が風船のように膨れることがあります。この状態を放置すると、膨れた部分が破れて雨水の浸入口となり、雨漏りの直接的な原因になります。
コンクリートの「ひび割れ」や塗膜の「剥がれ」
コンクリートのひび割れ(クラック)や、防水層の表面を保護しているトップコート(保護塗装)の剥がれは、防水機能が低下しているサインです。特に、ひび割れから雨水が浸入すると、建物の構造体にまで悪影響を及ぼす危険性があります。
水はけが悪く「水たまり」ができる
雨が降った後、屋上の特定の部分にいつまでも水たまりが残っている場合、排水口(ドレン)の詰まりや、下地の歪みが考えられます。常に水に浸かっている状態は防水層の劣化を早めるため、注意が必要です。
屋上に「雑草」が生えている
屋上に雑草が生えている場合、飛んできた種子が防水層の隙間や劣化した部分に根を張っている可能性があります。植物の根は想像以上に力が強く、防水層を突き破って雨水の通り道を作ってしまうため、非常に危険なサインと言えます。
屋上防水の最適なタイミングは?耐用年数と修繕周期の目安
マンションの屋上防水工事は、国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」でも、10年~15年周期での実施が推奨されています。もちろん、これはあくまで目安であり、使用されている防水材の種類や立地条件によって耐用年数は異なります。
例えば、一般的にウレタン防水やシート防水の耐用年数は10年~15年、アスファルト防水は15年~25年と言われています。前回の工事から10年以上経過している場合は、一度専門家による防水診断を受けることをお勧めします。
失敗しない防水工事業者の選び方

屋上防水工事は、マンションの資産価値を左右する重要な工事です。だからこそ、業者選びは慎重に行う必要があります。以下の3つのポイントを参考に、信頼できるパートナーを見つけましょう。
マンションの防水工事実績が豊富か
戸建て住宅とマンションでは、建物の規模や構造が大きく異なります。そのため、マンションの防水工事に関する専門的な知識と豊富な施工実績がある業者を選ぶことが非常に重要です。業者のウェブサイトで過去の施工事例を確認したり、直接問い合わせてマンションでの実績を尋ねてみましょう。
「防水施工技能士」などの有資格者が在籍しているか
「防水施工技能士」は、防水工事に関する技術と知識を証明する国家資格です。このような有資格者が在籍している業者は、一定水準以上の施工品質が期待できます。見積もりを依頼する際に、有資格者の有無を確認するのも良い方法です。
施工後の保証や瑕疵保険は充実しているか
適切な工事を行っていても、万が一の不具合が発生する可能性はゼロではありません。施工後にどのくらいの期間、どのような内容の保証が付いているか、事前に必ず確認しましょう。また、事業者が倒産した場合でも保証を受けられる「瑕疵(かし)保険」に加入している業者であれば、さらに安心です。
マンションの屋上防水工事は山市成工にご相談ください
山梨県甲府市に本社を構える株式会社山市成工は、1948年の創業以来、70年以上にわたって地域の建築業界を支えてきた総合建設会社です。
山市成工では、工場や倉庫の改修・修繕 、住宅リフォーム 、耐震補強工事 など幅広い建設サービスを手がけており、マンションの大規模修繕工事においても豊富な実績があります。屋上防水工事についても、ウレタン吹付防水 やベランダのシート防水 などの施工事例があり、専門的な対応が可能です。
「10年以上メンテナンスをしていない」「屋根の雨漏りが心配」といったお悩みを抱えるマンションの管理組合様やオーナー様は、ぜひ一度山市成工にご相談ください。経験豊富な建築士が現状の課題を把握するためにマンションをチェックし 、建物の資産価値を高めるための最適な修繕・リフォームプランをご提案します。